こんなに変わる、空の旅!
−旅客機の変遷をたどる−
2006年4月9日

4月4日から1週間、サンフランシスコに出張することになった。
海外への業務出張は、7年前のブラジル・サンパウロへの「システム監査」以来である。
多少緊張はするが、米国・西海岸へのフライトは、ブラジルに比べると楽なものである。

ブラジルは、日本から見るとちょうど足の下、即ち地球の反対側に位置する。
このため時差は、マイナス12時間、昼・夜が全く逆になる。
サンパウロまでのフライトは、途中ロスで給油をするが、乗っているだけで約25時間である。

食事が4回も出て、映画を最低でも5本は観ることが出来る。(寝なければ最大10本!)
1992年に同じサンパウロに行った時には、食事が6回も出ていた。
それにしても、狭い機内に1日以上も閉じ込められる苦痛は大変なものである

振り返ってみると、海外への業務出張の初体験は、1980年の米国一周であった。
海外出張には担当役員の決裁が必要な時代であり、1ヶ月以上の海外出張は、常務会決裁という決まりとなっていた。海外がまだまだ遠い時代である。

当時の国際線主力機は、日本航空のDC8であり、航続距離の関係から、アンカレッジで給油をしなければNYには行けなかった。下の写真が、名機と謳われたそのDC8である。
驚いたことに、今でも現役で活躍しており、名古屋空港まで飛んで来ている。


名古屋空港飛来機写真展示室(ホームページから)

日記を読み返すと、朝11時に成田を離陸、6時間半でアンカレッジに着いている。2時間の給油を経て、日本時間の翌朝6時にケネディ空港に到着である。何と19時間のフライトである。

その空の旅も、これからは全く違ったものになりそうである。


次のスーパージャンボ、エアバス「A380」

現在、世界最大の旅客機といえば、おなじみのボーイング747、通称「ジャンボ」である。
座席数は400席程度で、一部が2階建てになっている。
ところが、世界的に激増している海外旅行の需要に応えるため、かってない旅客機が登場する。

エアバス社が開発したスーパージャンボ「A380」である。
2006年から就航することになっているが、正に、スーパージャンボ、大変な大きさである。
良く見ると、総2階建になっている。機内は、4通路であり、3クラスで555人を収容できる。


エアバス日本のホーム・ページより

この機種の性能を調べてみると、航続距離は14、800キロ、巡航速度はマッハ0.85程度であり、現在のジャンボ機と殆ど変わらない。最も変わるのがその居住性である。
広い室内空間の活用によって、居住性と快適性が大幅に向上する。下の写真を見て頂きたい。

左がバー・ラウンジである。ここでユッタリとお酒を楽しむことが出来る。
また、右の写真は、何と図書館である。これが実現すれば、空の旅も大変化である。
ただ、この写真はエアバス社からの提案であり、この通りになるかどうかは航空会社次第である。


A380の機内/エアバス提供

経済性だけを考えるのであれば、座席を800席程度まで拡大することも可能だからである。
エアバス社に対抗して、ボーイング社もB747の後継機を開発する。2008年頃からの就航が予定されている「B787」である。こちらも航続距離や巡航速度の点では、現在のジャンボ機などと大きな変化はない。やはり、居住性を数段アップさせようと考えているのが特徴だ。


B787の客室風景イメージ(ボーイング社より)

この写真が実現すれば、21世紀の空の旅は今よりは相当快適になりそうである。
航空会社間の旅客争奪競争も、経済性から徐々に居住性や快適性に移っているようである。


20世紀初めの空の旅

ここで、時計を100年ほど遡り、20世紀初めの空の旅を眺めてみよう。
先ず、次の写真を見ていただきたい。史上最大の空の乗り物、飛行船「ヒンデンブルグ号」である。
ジャンボ機がまるで赤ちゃんである。1番下のタイタニック号より25M短いだけである。


www.ciderpresspottery.com/ ZLA/greatzeps/german/Hindenburg.html より

20世紀初頭は、このような豪華飛行船が空の旅の主役であったのである。
タイタニックのような豪華客船と対抗して、豪華で超大型の飛行船が次々と就航していった。
同じく超大型の飛行船である「グラーフ・ツェッペリン号」(全長236メートル)の姉妹船として「ヒンデンブルグ号」が誕生したのは1936年である。

全長が245メートル(ジャンボ機は、70メートル)、全重量が195万トン(同 180トン )もあり、これを1000馬力のエンジン4基で動かした。時速は135キロ(ジャンボは、939キロ)と結構な速さである。大西洋は2日半、太平洋なら3日で横断できたそうである。
 
乗客は個室でくつろぎ、豪華なディナーを楽しんだ。また、広い空が眺められるラウンジが用意された。1989年に公開された「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」(ハリソン・フォード、ショーン・コネリー出演)には、同じタイプの飛行船が紹介されていたので、ご覧になった方も多いと思う。

ヒンデンブルグ号は、1937年にNY近郊のレーク・ハースト空港の上空で大爆破を起こし、乗客97名中35名が尊い生命を落とす。以後、飛行船は空の旅の主役を飛行機に譲っていくのである。


結論

この100年間で、空の旅も大きな変貌を遂げてきた。「より速く」、「より快適」に空を飛びたいとする人間の飽くなき追及の成果である。
最後に、下の写真を紹介しよう。ボーイング社が発表した究極の次世代旅客機である。


BBC News/ Home Page より

太平洋を3時間で横断するという。スピードという点では、コンコルドを思わせるが、あの旅客機よりは遥かに洗練されたスタイルを持つ。3角形のデルタ(Δの形)翼が特徴だそうである。難点は、広いデルタ翼のため、乗客の半分は下界が見えないことだという。

ところで、次世代旅客機の課題は、軽量化と低燃費、それに環境への配慮だそうである。そのためには、これまでのスチールやアルミを多用した機材から、新素材の大量採用に移行する。嬉しいことに、炭素繊維やチタンの製造は日本企業の独壇場である。

実際、エアバス「A380」には、小糸工(客室の座席)、横浜ゴム(貯水、浄化槽タンク)、富士重(垂直尾翼等)、住金(ダクト等)、三菱重(貨物ドア)等16社以上の日本メーカーが起用されている。空の旅にも、日本企業が力強く復権している。


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